
GIMPで画像を作ったり編集や加工するときによく使う変形ツールには、共通して使える便利なオプションがいくつかあります。そんな便利なオプション機能について、わかりやすく解説します。
GIMPの変形ツール
GIMPでは、各作業に適したいくつかの変形ツールが用意されています。

変形ツールの共通オプション
GIMPの各ツールは、細かな設定ができるように、デフォルトではツールボックスの下にツールオプションダイアログがあり、変形ツールでは、以下の共通ツールオプションがあります。
変形対象

GIMPのツールオプションには、変換ツールがどの画像の部分に対して動作するかを選ぶことができます。
レイヤー

アクティブ(選択中)レイヤーを変形対象にします。レイヤーに選択範囲がない場合、レイヤー全体が変形されます。
選択範囲

選択範囲を変形対象にします。選択範囲がない場合は、レイヤー全体が変形されます。
パス

アクティブなパスのみを変形対象にします。
画像

変形対象はすべてのレイヤーに適用されます。
方向

レイヤーの変形方向を「正変換」または「逆変換」から指定することができます。GIMPの初期設定では「正変換」です。
正変換
「正変換」モードは、レイヤー、選択範囲、パスの変形対象をハンドルの操作により変形させることができます。
逆変換
「逆変換」モードは、正変換とは逆で水平垂直になっていない傾きを補正したい場合などに効果があります。
補間アルゴリズム

「補間アルゴリズム」は、変換方法を選択することができます。選択した方法によって、変形の品質に影響します。GIMPの初期設定では「キュービック」になっています。
なし(補間しない)
元画像の一番近くにある画素の色が使われます。処理の時間は短くなりますが、境界が「ギザギザ」になり画像の品質が悪くなります。この方法は「最近傍補間」とも言います。
線形
元画像の一番近い4つの画素の色の平均が使われます。ほとんどの画像で満足できる仕上がりが期待できるため、処理の速さと品質のバランスをうまく取るのに適しています。処理の時間・画像の品質は「補間しない」と「キュービック」の中間になります。この方法は「双線形補間」とも言います。
キュービック
元画像の一番近い8つの画素の色の平均が使われます。通常は良い結果が期待できますが、状況によっては、単純な方法よりも見た目が劣ったり、処理に時間がかかることがあります。この方法は「バイキュービック」と呼ばれることもあります。
NoHalo
高品質の補間処理をしたいときに選択します。画像を元サイズの半分以下に縮小する場合は一般的に「NoHalo」が適しています。
LoHalo
高品質の補間処理をしたいときに選択します。画像サイズを縮小しない場合(回転や剪断)は一般的に「LoHalo」が適しています。
クリッピング

「クリッピング」は、変形後の切り抜く画像サイズを4つの中から設定することができます。GIMPの初期設定では「自動調整」になっています。
自動調整
「自動調整」を選ぶと、変形後の大きさを自動で合わせます。変形を行った対象のレイヤーはサイズが大きくなります。
キャンバスからはみ出した部分は画像キャンバスをレイヤーに合わせるを適用することで、変形したレイヤー全体を表示することができます。(キャンバスサイズが変更します。)

変換前のレイヤーサイズ
「変換前のレイヤーサイズ」を選ぶと、変形前のレイヤーサイズを元にして、はみ出した部分は削除されます。

結果で切り抜き
「結果で切り抜き」を選ぶと、変形後のレイヤーの周りに透明部分が残らないように切り抜かれます。

縦横比で切り抜き
「縦横比で切り抜き」を選ぶと、「結果で切り抜き」の効果と同じになりますが、元画像の縦横比が維持されます。

プレビューを表示

GIMPの初期設定では「プレビューを表示」はオンです。オフにすると各ハンドルとガイドだけが表示され変形したイメージ画像は表示されません。
「プレビューの不透明度」はプレビュー画像の透明度をスライダーまたは数値で調整できます。初期設定では「100.0」です。

Composited preview(合成プレビュー )
複数のレイヤーがあり、それぞれに描画モードや不透明度が設定されている場合、選択中(アクティブ)のレイヤーを変形すると、そのレイヤーが一時的に他のすべてのレイヤーよりも前面に表示されてしまいます。
そのため、レイヤー同士の関係が複雑なときは、思った位置に揃えるのが難しく、何度も位置を調整しながら確認する必要が出てきます。初期設定はオフです。

合成プレビューをオンにすると、変形したレイヤーが、他のレイヤーと重ねたときにどのように見えるかを、正しい位置と設定(不透明度や描画モード)で確認できます。

Synchronous preview(同期プレビュー)
変形を変更したとき、すぐにその結果を画面に表示(レンダリング)します。つまり、マウスの動きが止まるのを待たずに、リアルタイムで結果を表示します。
このオプションを有効にすると、プレビューの表示が終わるまで、他の処理が一時的に止まります。そのため、レイヤーのサイズが非常に大きい場合などには、GIMPの動作がかなり遅くなることがあります。そのため、このオプションは初期設定ではオフになっています。
ガイド

GIMPでは、変形対象に構図の線(ガイド)を表示することができます。ガイドを表示することで、構図が作りやすくなります。GIMPの初期設定では「表示しない」になっています。
表示しない
ガイドは表示されません。

センターライン
垂直な線と水平な線がそれぞれ真ん中に1本づつ表示されます。

三分割法
垂直な線と水平な線が等間隔でそれぞれ2本づつ表示されます。

五分割法
垂直な線と水平な線が等間隔でそれぞれ4本づつ表示されます。

黄金分割
変形部分に大小さまざまな9つの区画が表示されます。

対角線構図
対角線で表示されます。

グリッド線の数を指定
垂直な線と水平な線が同じ数で等間隔表示されます。下のスライダーで線の数を設定できます。初期設定では「15」です。

グリッド間隔の指定
グリッドのマス目の間隔を下のスライダーで幅の調整することができます。初期設定では「15」です。

さいごに
GIMPの変形ツールで使える共通のオプション機能をご紹介しました。各変形ツールは、画像を編集したり作成したりするときに、よく使われる便利な機能です。ツールのオプションを上手に使うことで、作業をより効率的に進めることができます。