
GIMPの変形ツールの1つ「3D変形」ツールの使い方を、初心者の方に向けて解説します。この3D変形ツールは、簡単な操作で、レイヤーや選択範囲をまるで3D空間で回しているかのように回転させることができます。画像や文字などに奥行きや遠近感を加えたい場合に役立つ便利な機能です。
それではさっそく「3D変形」ツールの使い方を身につけて、画像の編集や加工に活用しましょう。
3D変形ツールとは
GIMPの「3D変形」ツールは、遠近法ツールの効果と似ていますが、このツールは、消失点(遠くに向かって物が小さく見える方向の基準点)を設定できます。アクティブ(選択中)レイヤーや、作成した選択範囲の、X・Y・Zの3つの方向の角度を調整することが可能で、360度の回転、拡大・縮小、傾ける操作を行うと、自動で遠近感を計算し、立体的な表現を加えることができます。ただし、GIMPの3D変形ツールは、レイヤーを本当の3Dモデルのように立体的に動かすのではなく、平面の画像を遠近法の効果で変形させて、3Dっぽく見せる仕組みです。

3D変形ツールの使用方法

GIMPで「3D変形」ツールを使う場合は、以下の方法が用意されています。
- ツールボックスの「3D変形」アイコン
- メニューバーからツール変形ツール3D変形
- キーボード(ショートカットキー)shift+W
3D変形ツールの使い方
「3D変形」ツールの基本的な使い方はとっても簡単です。3D的な効果を付け加えたい画像レイヤーを開いて、ツールボックスから「3D変形」ツールを選び、操作方法を一緒に確認していきましょう。

「3D変形」ツールを選ぶと、3D変形調整ダイアログが表示されます。3D変形調整ダイアログが表示されないときは、マウスポインタを画像ウィンドウ上に移動して、マウスポインタがにかわったら、左クリックしましょう。

レイヤーの回転と傾き
3D変形調整ダイアログから「回転」を選び、X・Y・Z軸それぞれの角度を、数値で入力したり、横の小さな上下ボタン(スピンボタン)で操作、または画像ウィンドウ上で画像を直接ドラッグすると、アクティブ(選択中)レイヤーに対して遠近感を自動で計算し、3Dのような立体的な表現を加えることができます。

変形によってキャンバスサイズより大きくなったレイヤーを、元のキャンバスサイズに収めたいときは、ツールオプションの、統合インタラクション(Unified interaction)をオンにして、Ctrlキーを押しながら、レイヤーの中で左右にドラッグすると、拡大・縮小することができます。

プレビューを見ながらイメージ通りに変形することができたら、3D変形調整ダイアログの「変形」をクリックして確定します。

確定後、変形させたレイヤーがキャンバスの外にはみ出して、画像の一部が切れて表示されないことがあります。

画像全体を表示するときは、メニューバーから画像キャンバスをレイヤーに合わせるをクリックします。

変形したレイヤーは、キャンバスサイズを合わせることで、画像全体を表示することができます。

透過(透明)にならないときは
変形したレイヤーの周りが透過(透明)にならないときは、そのレイヤーはアルファチャンネル(透明度の情報)を持っていないかもしれません。

選択範囲の回転と傾き
レイヤーの回転と傾きと同じように、作成した選択範囲も変形することができます。

3D変形調整ダイアログ
3D変形調整ダイアログから、各設定を確認してみましょう。
カメラ

GIMPの3D変形ツールでは、消失点という、画面の奥に向かって線が集まる点を目安にして、レイヤーを立体っぽく見せることができます。消失点の位置は、左上の角を基準に、横方向(X)と縦方向(Y)を調整することができ、消失点を遠くに置くほど奥行きが深く見えます。ただし、レイヤー自体は実際には2Dのままで、消失点はあくまで見た目の遠近感を作るガイドです。操作は、数値を入力したり、横の小さな上下ボタン(スピンボタン)を押したり、消失点を直接ドラッグして行えます。
単位はpx/%/in/mm/pt/pc/cm/m/ft/yd/tpt/tpcのいずれかで指定することができます。初期設定では「ピクセル単位」です。

移動

移動は、レイヤーを左右や上下に動かしたり、奥や手前にあるように見せることができます。操作は、数値を入力したり、横の小さな上下ボタン(スピンボタン)を押したり、画像を直接ドラッグして行えます。
単位はpx/%/in/mm/pt/pc/cm/m/ft/yd/tpt/tpcのいずれかで指定することができます。初期設定では「ピクセル単位」です。
Xの移動
左右に動かすことができます。

Yの移動
上下に動かすことができます。

Zの移動
奥に行ったように縮小、手前に来たように拡大することができます。

回転

回転は、レイヤーを上下・左右・斜めに傾けて、立体的に回っているように見せることができます。操作は、X・Y・Zの角度の数値を入力したり、横の小さな上下ボタン(スピンボタン)を押したり、画像を直接ドラッグして行えます。
また、どこを中心にして傾けるかを設定することもできます。ポイントの位置を変えると、その場所が回転の中心(支点)になります。たとえば、画像の端にポイントを置けば、ドアを開くように片側を支点にして回転させることができます。

X軸の回転
左右の横線を軸にして手前や奥に傾けます。

Y軸の回転
上下の縦線を軸にして、横に傾けます。

Z軸の回転
普通の回転ツールと同じで、平面のままクルクル回します。

3D変形のツールオプション
GIMPの「3D変形」ツールには以下のツールオプションが用意されています。
変形対象、方向、補間アルゴリズム、クリッピング、プレビューを表示、ガイド

変形対象、方向、補間アルゴリズム、クリッピング、プレビューを表示、ガイドは、変形ツールの共通オプションです。共通オプションを参考にご覧ください。
統合インタラクション(Unified interaction)

ON(オン)で、3D変形調整ダイアログのカメラ、移動、回転タブを切り替えることなく、オブジェクト、消失点の移動や回転をすることができます。
軸を制限(Shift)(Constrain axis )

ON(オン)、またはShiftキーで、現在の軸を固定して、プレビューの水平、または垂直の移動を制限します。
Z軸(Ctrl)(Z axis)

ON(オン)、またはCtrlキーで、Z軸を中心に回転することができます。また、統合インタラクション(Unified interaction)オン+Z軸(Ctrl)オンで、レイヤーの中で左右にドラッグすると、拡大・縮小することができます。
ローカルフレーム(Alt)(Local frame)

回転や傾きの基準をどこにするかを切り替えることができます。
- ON(オン):レイヤー自体の向きを基準にして回転・傾ける
- OFF(オフ):画面の上下左右を基準にして回転・傾ける
ただし、GIMPの3D変形ツールは本格的な3Dソフトのように立体モデルを扱うものではなく、平面の画像や文字を3Dっぽく見せる機能です。そのため、文字や画像などの平面レイヤーを変形しても、ONとOFFの違いは、ほとんど目に見えません。
さいごに
GIMPの「3D変形」ツールの基本的な使い方をご紹介しました。このツールは、画像やテキストレイヤーを3D風に傾けたり回転させたりできる便利な機能です。ぜひ、平面の画像に奥行きや角度をつけたデザインの作成に活用してみてくださいね。